アンティークデスクの修復 その8

こんばんは。

ご無沙汰しておりました。
何かと忙しいもので・・・
貧乏暇なしとはよく言ったものです・・・

今日は
アンティークデスクの修復 その8 です。

前回までに本体の塗装は終了しました。

天板面に限らず、塗装を一度剥がして再塗装するときは
基準となる色が仕上がっていることが不可欠です。

そうしないと天板はきれいに仕上がっても色や質感が微妙に合わなくなることがあります。

それを防ぐためにまず本体を仕上げて色、質感を確かめてから天板の塗装に入る必要があるのです。


天板は大きく割れていて、接ぎ直しました。

その際段差が出ないように矯正しながら接ぎ直すことが重要です。

間違っても、削る事を前提に段差をそのままにしておいたりしないで下さい。

アンティークの修復においては現状を生かすことが重要です。
削りをやらなくて済むようにする事が当たり前なのです。

天板の荒れた塗装を メス を使ってスチールウールできれいに取り除きます。

現状を生かすといっても明らかに塗装が劣化しているのに
オリジナルを生かしたといってその上から塗装してしまったり、ワックスのみ、乾拭きのみなどはもってのほかです。

残念ながらそんなアンティークショップも中にはあります・・・

塗装が劣化してしまっているのですからその上から塗装を施しても劣化している塗装面ごと剥がれてきてしまうのです。ワックスで仕上げたり、乾拭きのみで仕上げても同じことです。

きれいになったら
サンドペーパーとケンマロンで均します。

その後、本体にあわせてオイルステイン選択し、入れてきれいにふき取ります。

幸いこのデスクの場合はオイルステインを入れたところで本体の色に近づいたので工程としては微妙な色あわせと質感を合わせていきながらシェラックニスを塗り重ねていきます。

天板の塗装の乾燥待ちの間に
本体の最終調整を行います。


引き出しのすべりは木工作業の際に確認してあります。

ただ木は磨耗してしまうものです。

その磨耗を防ぐために いぼた という蝋を本体の引き出しのレールに塗っておきます。

そうすることで引き出しとしての機能を向上させ
木の磨耗を防ぐ重要な作業です。

いぼた は3ヶ月に一度くらいにやっておくと良いと思います。

かんたんメンテナンスとして出張修復してやっておりますので
是非ご利用下さい。詳しくはHPをご覧下さい。
宣伝でした。


引き出しの側面も同様です。

最終チェックで問題がなければビーズワックスをかけます。

スチールウールに適量をつけてのよく伸ばしながらかけてきれいなウエス(布)で拭き残しのない様にしっかりふき取ります。

ビーズワックスの説明は以前にした?と思うので省略しますね。
簡単に言うと蜜蝋から作ったワックスですので有害なものは含まれていないものです。

引き出しの中も当然ワックスをかけます。

ワックスをかける利点も以前説明したと思います。
簡単に言えば塗装面のざらつきを取り、艶を落ち着かせ、塗装面の保護をする役割です。


これで完成です。
お客様に納品した写真です。

喜んでいただけて大変うれしく思います。

さて
内訳は

天板割れ修復 90分 
引き出し底板交換 60分
引き出し調整 30分
全体の締め直し 60分
全体塗装 60分 

実作業で5時間です。

料金は最初の1時間が出張料込みで8400円+21000円(5250円×4時間)+出張料(納品時)3000円=32400円(税込み)です。

参考にして下さい。

今回はこの辺で。
また次回をお楽しみに。

花粉症の皆さんまだまだ花粉はひどいですががんばりましょう。


アンティークデスクの修復 その7

こんばんは。

今回はアンティークデスクの修復 その7です。
前回はリタッチをした所までお話しました。

今日はシェラックニスを塗っていきます。

容器にシェラックニスを入れメスを少しだけ入れます。
刷毛を使って塗りますが、刷毛の毛が抜けないようによくしごいてから使います。そうしても刷毛の毛が抜けてしまうことはあるのでその都度取り除きながら塗っていきます。

刷毛にシェラックニスを適量につけ(これが結構難しいです)
木目に沿ってムラなく塗っていきます。
細かい所にしっかりシェラックニスを塗っていくことが必要です。
塗り忘れのないように確認します。

引き出しの底は交換したので無塗装の状態です。
しっかり塗装面を作っていくために何回か塗り重ねます。
当然塗り重ねるのは乾いてからです。

引き出しの半分だけシェラックニスを塗った状態です。
シェラックニスはそれだけで少しの色を出しますのでシェラックニスのみで仕上げてもいい風合いが出ます。

ライトオーク色のアンティーク家具、例えばチャペルチェアなどは
オイルステインを入れずに、シェラックニスだけで仕上げます。
薄い色のアンティーク家具にはシェラックニスの色も気を使わなくてはいけません。シェラックニスだけでも若干の色が付いてしまうわけですから薄い色の家具には風合いを損ねないように無色か薄い色にあったシェラックニスを塗らなくてはいけません。


引き出しの内部全体に塗装を入れます。

リタッチをした部分は取れないように
慎重に塗っていきます。
刷毛で何度もリタッチ部分を塗っているとリタッチが取れてしまうことがあるので注意が必要ですね。

脚全体を
ムラなく、塗り残しのないようにしっかり塗ります。
刷毛になれていない方は刷毛の線(刷毛ムラ)が付いてしまうので
つかないようにするのはすごく難しいのです。

脚が仕上がったら
次回は天板の塗装に入ります。
お楽しみに。


アンティークデスクの修復 その6

こんばんは。

今日はアンティークデスクの修復 その6です。

前回はオイルステインを入れたところまでお話しました。
オイルステインを入れても、すべてに色が入るわけではありません。
完全に色が剥げてしまっている所やキズなどに
着色が必要になります。

これを私はリタッチと呼んでいます。
正式にはカラーブラインディングという技法です。

この顔料を使って色をつけます。


これは引き出しの正面の色はげです。

その周りの色に合う顔料をいくつか選び
何色か混ぜ合わせて使用します。
単色でも色が合うこともありますが
アンティーク家具の微妙な風合いの色を出す場合は混ぜ合わせて色を作っていかないとまず合いません。

顔料を適度に筆につけ
シェラックニスで濃さを調整しながら溶きます。

顔料を濃くしすぎると、木目を消してしまい
透明感のない
厚ぼったい塗装面になってしまうので
薄く塗り重ねていくことが必要です。

リタッチ後です。

リタッチが終わったらケンマロンで均します。
顔料は粉です。
粉をシェラックニスに溶いているわけですから
ニスが乾いてしまえばざらざらが残ります。

これをそのままにしておくとせっかく色が合っても質感が合わなくなります。
ざらざらを取るためにケンマロンで均しますがあまり強く擦るとせっかくのリタッチが取れてしまうので微妙な力加減が必要です。

このリタッチを全体を見回して
必要な所を色付けしていきます。
このリタッチで何でもかんでも色をつけていけばよいものではなく
風合いを残しつつ、適度に施していくことが必要です。

リタッチが終わったら
次回はシェラックニスを塗ります。
お楽しみに