あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
お正月は皆さんゆっくり過ごせましたでしょうか?
私は酒を飲み、食べ、ゴロゴロとお相撲さんのような生活を送ってしまいました。
新しい年は焦らず、落ち着いて、でも攻撃的にいきたいと思います。
さて新年の抱負を語った所で・・・
昨年の続きアンティーク家具の修復に膠(にかわ)が使われていた、でも私は使用していない、なぜ?という所のお話をしたいと思います。
膠はアンティーク家具の修復には適していると思いますが、最適ではないと私は考えています。
それはまず作業性が良くないということ。どちらこというと非常に悪いです・・・
膠を使用するときにはまず湯煎しなくては使用できないのです。その湯煎も結構時間がかかるのです。
時間をかけて湯煎したものを使うのですが前回も説明した通り膠は冷めるとすぐ固まってしまい作業時間が限られてしまうのです。
使用する所が1箇所ならば良いのですが躯体を締め直す場合は何箇所にも膠を入れなければならず入れているうちに固まってしまうということもあります。膠によっては乾く時間を長く取れるものも中にはありますが作業性はおおむね悪いです。
それよりも大きいのが強度の問題です。
膠はすぐ固まり、硬化します。硬化が早いということは膠そのものに粘りがないということなのです。ですから衝撃にすこぶる弱いのです。
特に椅子などの接合部には常に負荷がかかります、そういうところに膠を使ってしまうと一瞬の衝撃と負荷によってパキッと膠が切れてしまうのです・・・
修復は容易でも頻繁に修復が必要になってしまってはお客様に申し訳ないのです。
そこでオクアンティークスが使用しているのが木工ボンドです!!!
普通にホームセンターで売っている木工ボンドです。
一般的に使用されている木工ボンドの正式名称は木工用酢酸ビニール樹脂系エマルジョン型接着剤となりその英名がPVA(Polyvinyl Acetate emulsion)と言います。
現在シックハウス症候群として問題になっているのはユリア樹脂接着剤やフェノール樹脂接着剤で、前者は集積材や合板等の製造に使用され、そのような材が建築用材として使用されています。後者は耐久性が必要とされる外装用等に使用されます。両者とも耐久性、耐水性、防腐性等を必要とするのでホルムアルデヒドが使用されこれが問題となっています。
現在ではその問題はほぼ改善され、現在の木工ボンドですが分類としては上記2種と同様合成樹脂系接着剤に大別されるのですが基本的には水性で、耐水、耐熱性には乏しいのですが問題になっているホルムアルデヒドは含んでいません。
と長々と木工ボンドの説明をしてしまいました。
木工ボンドは速乾というものがありますが、完全に乾くのに温度、湿度によりますがおおむね3時間以上必要です。
接着するときには面と面をしっかり圧着することが必要です。
固まるのに時間がかかるということはその木工ボンド自体に粘りがあるということになります。
粘りがあるということは衝撃にも強く簡単には接着が切れないのです。
簡単に切れないのなら修復が容易ではないではないかと思われるかもしれませんが、水性なので水つけておいておくとやわらかくなりとれます。ただ通常少し水が付いたくらいでゆるくなるものではないので安心してください!
アンティーク家具には風合いを損なわないための塗装が必要ですが、木工の部分においては磨耗は仕方がないことですがすぐに壊れてしまうということはいただけません・・・
風合い損なわず、オリジナルを生かして、技法に背かず、壊れないように長く使っていただけるように修復することが必要なのです。
強度のみを重視して技法に背いたり、オリジナルの材を生かさず簡単に材の交換をしてしまったり、オリジナルの材を組み直しをする際に欠損または破損してしまい強度が出なくなってしまったので交換などもってのほかです!!
アンティーク家具がすぐ壊れてしまうもの、正常に機能しないものではないのです。
そのためにはしっかりとした技法と木工ボンドが必要なのです。
木工ボンドを熱く語ったので今日はこの辺にしておきましょう。
次回は・・・
おたのしみに。
ではまた。