こんばんは。
早速アンティークデスクの修復にかかります。
まずはアンティークデスクの天板割れの修復です。
割れている所は木が接いであるところです。
割れて段差ができてしまっているので一度きれいにその接ぎ目で割ります。
アンティーク家具で無垢の板といっても大きな面、特に天板などは
一枚板であることは余りありません。
無垢板を何枚も接ぎ合わせて大きな天板になっているのです。
このことは無垢と合板の時にお話したと思うので、多分・・・
このぐらいにしておきますね。
接いであるところをきれいに割ったら
その割った面についている膠やごみをきれいに取り除きます。
このときにこの面がごみなどででこぼこしていると
うまく接着せず、隙が出てしまうので注意が必要です。
ごみ等を取り除いたら
木工ボンドをつけてはたがねでしっかり隙のないように接着します。
このとき段差ができないようにベニヤ板などで矯正して締めなくては、
せっかく締めなおしたのに
段差ができてしまい削らなくてはいけなくなった。
なんてことになります。
削らなくていいものを削ってしまう、とてもいい仕事とは言えませんね。
何度も言っていますが現状を生かしてこその修復です。
今日はこの辺で
次回は躯体の締め直しをお話します。
お楽しみに。
コメントが付きましたので
お答えしたいと思います。
①蓮尾様 2007・3・19
ご質問ありがとうございます。
シェラックニスが塗り重ねているとひび割れてくる。
よく起こります。
私はこの現象を 反応する と言っています。
蓮尾様の場合、白木にシェラックニスを塗る場合が多いと思いますが
まず1度目のシェラックニスを塗ります、このときにひび割れることはありません。
ひび割れ~反応~は塗り重ねていく過程で起こるものなのです。
シェラックニスは速乾性が高い塗料です。
ですから塗った瞬間から乾燥が始まっていくのです。
シェラックニスを塗ると、それより前に塗った塗装面に浸透して食いつこうとします。
その食いつく過程で同時に乾燥が始まって行きます。
その食いつく力が以前に塗った塗面を引っ張りあげてしまい
最悪下地(木部)に食いついていた塗装を溶かしてしまうのです。
引っ張りあげる力になぜ負けてしまうかと言うと
乾燥が不十分のまま塗装を塗り重ねていってしまうからです。
シェラックニスは速乾性が高いとはお話しましたが
すぐに乾くのは表面だけなのです。
刷毛でシェラックニスを塗った塗装の厚みを 10 としましょう。
30分乾燥させた場合、 5~6 程度しか完全には乾いていないのです。
この乾燥時間を多く取れば取るほどしっかりとした塗装面ができて
この引っ張る力に負けることはなく 反応する ことも防ぐことができます。
塗装は厚く塗れば強くなると思っている方も多いとは思いますが
薄い塗面でしっかり乾燥した塗装を重ねていく方がはるかに強いのです。
薄くシェラックニスを塗るためにはタンポ刷り(フレンチポリシュ)と言う方法を使うとより薄くパリッとした(厚ぼったくない)強い塗面ができます。
フレンチポリッシュの方法はまた今度詳しくお話します。
ひび割れ~反応~は塗装の合間の乾燥時間を十分に取ることで防ぐことはできます。
そのほかにも塗装面に不純物がついていたり、梅雨の時期などの湿気がすごいときには白濁したりします。これもまた 反応する 原因の1つです。
少しは説明になっていますでしょうか?
ご参考になれば幸いです。
私もマーケットリーでわからない事を蓮尾様に質問することがあるかもしれませんがその時はよろしくお願いします。
それでは
②牛込様 2007・6・7
ご指摘ありがとうございます。
ご指摘の件ですが
削らなくていいというのは表面のことで
接地面は当然膠やごみ、埃がついたままですので
面と面が合うように調整いたします。
芋付けですが面と面があっていて十分な圧着があれば
強度は出ます。
同業者様からの大変ありがたいコメントありがとうございます。
お客様に分かりやすいように説明していくことが私の仕事ですから
分かりにくい表現などをご指摘いただけると大変助かります。
今後も分かりやすいように書いていくつもりですので
よろしくお願いいたします。
はじめまして突然質問ですいません。
今シェラックニスを広いボードに塗りこんで
いるのですがどうしても塗り重ねていくと
細かいヒビが突然入ってしまうのです。
原因がわからず何度も挑戦しているのですが
うまくいきません。何かご存知でしたら
教えていただけませんか。
よろしくお願いいたします。
大変ご丁寧なアドバイスをありがとうございました。
大変参考になりました。
日本でシェラックニスについてご相談できるところを知りませんでしたので
本当に助かりました。
私に解ることでしたらなんでもご質問ください。
これからもよろしくお願いいたします。
天板の接ぎ、拝見いたしました。一点気になる点が有りましたので、質問させて頂きたいのですが、(削らなくて良い物を、削るのは、良い仕事では、無い)と有りますが、接ぎ面しかも芋接ぎで、(吸い付き材と言う考え方も無い天板を)経年変化した材は、削らなければ、材同士の接地面積が減り、強度が出ないのでは有りませんか?ましてグルーは、膠だと思われますが、エマルジョン系グルーは、木部に浸透して固まる為、その上に酢酸ボンド散布してもグルーの性能が引き出せず、かえって強度低下に成りませんか?削らなくて良い、では無く削らなければ、いけないのでは有りませんか?